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「 アイアムアヒーロー」~ゾンビ描写以外、最後までモヤつく作品(ネタバレあり)

ZQN(ゾキュン)と呼ばれる謎の感染が広がり、ゾンビ化していく人があふれる街。さえない漫画家アシスタント、35歳の鈴木英雄(大泉洋)は、所持していたライフルを手に、パニックに陥った街から逃走する。
ゾンビ映像のクオリティは文句なしの一方、ストーリーの着地に文句が言いたくなる作品。(2015年)
おすすめ度

あらすじ

漫画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄(大泉洋)。そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウイルスに感染して襲い掛かってくる。慌てて趣味の射撃で所持する散弾銃を手に外に飛び出す英雄だが、街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた。出会った女子高生・早狩比呂美(有村架純)と逃げるが、彼女は歯のない赤ん坊のZQNにかまれて半分ZQN半分人間という状態に。比呂美を連れてショッピングモールに逃げ込んだ英雄は、そこで藪(長澤まさみ)という勝気な看護師と顔を合わせる。

シネマトゥデイより

気が弱い上、漫画家として芽が出ないままアシスタントを続けているパッとしない35歳の男という役は、大泉洋のキャラとも合ってて上手かったです。

同棲相手の彼女のイライラ感と、アシスタント仲間の陰鬱さ。

これからの展開を予感させる空気の悪さが漂う前半に、期待も高まります。

そしてその後、化け物化して襲いかかって来た同棲相手を振り切り、逃げる英雄。

行く先でゾンビ感染が広がっていく街のパニックは、もうちょい群衆感が欲しい気もしましたが、不気味さはなかなか良く出ていました。

今まで平常だった人が目の前でゾンビ化する描写の気持ち悪さも、さすがゾンビ映画って感じです。

元祖トレンディー俳優・風間トオルまでゾンビ化して顔から黒い血をポタポタ垂らし、文字通りの出血大サービスです。

でーーすーーが!!

全体的にはどうも納得いかず、「一体このモヤモヤどうしてくれんねん!!」と叫びたくなります。

以下、ネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。





何というか・・・ゾンビ映画にいろいろ求めるのは無理があるのか知りませんが、

最低限、「結局、どうなったん?」

が、わからないまんま終わるってアリですか!?

えーえー、それに限らずエンディングに至るまでも不満はいろいろ溜まってはいましたよ?

まず、比呂美(有村架純)のキャラの肩透かし感がハンパない。

逃走の途中で知り合い、一緒に逃げることになった女子高生・比呂美(有村架純)。実は彼女は歯のない赤ん坊のZQNにかまれていて、途中から半分ZQN、半分人間という状態に。

(それにしても半ZQNだと醜くならないとか、英雄は恋人ゾンビに噛まれたけどZQN化しないとか、イレギュラーなセーフ感が都合良すぎ)

意思疎通ができなくなった上にぐったりした比呂美を結局見捨てられず、彼女を背負って山中を歩く英雄。

やがてショッピングモールにたどり着いた二人は、比呂美が半分ZQNであることを隠し、感染を免れた人間で作った組織に合流します。

半ZQNになったばかりのときはちょっとした面白シーンもあるのですが、後半はほとんど寝てるかボーっとした状態の比呂美。

いや、今にきっとZQNが持つ怪力等を発揮する見せ場があるに違いない!と思いきや、それも無し。

ZQNに噛まれた傷が発覚した時に、「殺していいよ、未練もないし」などと言ったりして、身の上に闇を抱えてそうな伏線もありそうなのにそれも回収されず、完全に有村架純ちゃんの無駄遣い。

藪(長澤まさみ)も、なんだかなあ。

分裂していく組織内で二人の味方という位置付け以外の役回りが薄くて、何かもったいない。元看護師というキャラもそれほど活かされてるわけじゃないし。

しかし何と言っても不満なのは、バトルの舞台がアウトレットモールだけってこと。

・・・世界 狭っっ!!!

「大量のゾンビvs少数の人間」という構図で、

血(体液?)ドッビュュアーー!!

頭つぶれてグッチャァァアーー!!

身体ちぎれて(内蔵?)ドロォォォーー!!

みたいなグロバトルが延々と展開され、それはもう、やっとのことで

「ゾンビ軍団に勝ったどーーー!!」

みたいな展開に至るわけですが・・・

いやいやいや、アウトレットモールってごく小さなローカルエリアだけの話だし!!

せめて「町を守った」くらいのスケールでバトってくれ!!

そしてアウトレット脱出の車を走らせてるシーンで終了。

いや~めでたしめでたし・・・

・・・ってなるかい!!!

日本はどうなったんじゃあぁぁあーーっ!!!

 

・・・ナンダこの尻切れ感。

アウトレットモールに誰も救助に来ないってことは、日本はもうZQNの蔓延で首都機能停止してますよー日本崩壊してますよー・・・てこと?

それならそれで、脱出できてひと安心と思いきや実は・・・みたいな絶望感を匂わす演出でザワザワさせるべきでしょう。

それもなしに、ゾンビ倒してアウトレットモール脱出!!いや~良かったね~・・・て、

ぜんっぜん良くねぇぇぇええーーー!!!

ゾンビ描写はCG含めクオリティー高いと思うのですが、ストーリーの肝(きも)が抜け落ちてるので不完全燃焼感がハンパない。

原作ではそのあたりフォローされてるのかわかりませんが、映画から入って映画のみで終わる人も当然いるので、納得できる大軸がないとキツイです。

「とにかくゾンビがいっぱい出てれば満足」というゾンビホラー好きさんなら良いですが、そうでなければ、観る時はスカッと感を期待せずに鑑賞されることをおすすめします。

でないと、モヤついてこっちのほうがゾンビ並に暴れたくなりますので。

なんとなく教訓:
 ゾンビじゃなくたって
 暴れたいときもある
 にんげんだもの

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