アフリカで採掘されるダイヤモンド。それらが違法取引によって武器購入の資源となり、紛争を生んでいく。消費する先進国の責任を痛感する作品。ダイヤモンドを見る目が変わること間違いなし。(2006年)
おすすめ度★★★★★
あらすじ
ダイヤの密売人であるダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、巨大なピンク・ダイヤを隠し持つソロモン(ジャイモン・フンスー)という男の存在を知る。一方、ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリ)は、反政府組織“RUF”の資金源となっている“ブラッド・ダイヤモンド”の真相を探っていた……。
シネマトゥデイより
私はこの作品を観るまで、ダイヤモンドの採掘と流通をめぐってこれほどの虐殺や紛争があることを、恥ずかしながら知りませんでした。
ダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は元傭兵で、ダイヤモンドの密売人。
アフリカで生まれ育ち、その生い立ちに悲惨な経験を持つ彼は、ある時から自分の中の正義感を捨て、ダイヤモンドの密売で大金を稼ぐように。
内戦状態のシエラレオネ共和国はまさに地獄で、ダイヤモンドを狙う反政府組織は次々に村や集落を襲撃し、情け容赦なく村人を虐殺していく。
命が、まるで木の葉一枚の重さすらないような世界。
紛争の様子はドキュメンタリーかと思えるほど壮絶なシーンが展開されていき、生き抜くため闘う登場人物たちに終始ハラハラします。
ダイヤモンドの違法輸出を隠すために複雑なルートでロンダリングし、その経緯を知りながらも、市場で儲けるために取り引きをやめない西欧諸国。
美しく加工されたダイヤの宝飾品を高額で買う先進国の消費者たちは、自分たちが間接的に人を殺しているなどとは想像もしない。
そういった事実を知らずにいる先進国の人々、一方、家族を殺され、拉致されて奴隷状態でダイヤ原石の採掘を強要される人々。
強烈なメッセージが込められた社会派作品ですが、説教がましさはなく、アクション・サスペンスとして見ごたえのある出来栄えとなっています。
ISなどのテロや海外で続く内戦などを報道で見ることはあっても、平和な日本にいると、どこか異世界の話のようで実感がわきにくいものです。
でもダイヤが付いているアクセサリーは、身近な場所で普通に売られています。
そのダイヤが合法的なルートで取り引きされたものであるかどうか、考えたことがある人はどれくらいいるでしょうか。
ましてや、そのダイヤのために誰かの血が流れたかもしれないなど、多くの人は想像すらしないでしょう。
2000年、ダイヤモンドが戦争資金となっていることが国連でも議題にされ、2003年にはキンバリープロセス認証制度という、紛争ダイヤモンドではないという認証があるダイヤのみ取り引きする制度が採択されました。
でも、この監視制度には明らかな抜け穴があり、プロセスをすり抜けているダイヤが存在することは間違いありません。
キンバリープロセス認証制度があっても完全ではない以上、今後私は、ダイヤを積極的に買いたいという気持ちはなくなってしまいました。
私が買えるのなんてクズダイヤレベルのシロモノであり、それを買わないからといって何かが変わるわけではないでしょう。
でも、そのクズダイヤの採掘のためにもしかしたら誰かが苦役を強いられ、または殺されたかもしれないと思うと、もう欲しいとは思えなくなってしまったのです。
アクセサリーや宝石というのは、おしゃれのためだけでなく、身に付けた時に自分の気持ちを上げてくれるためのもの。
その時にネガティブな気持ちがよぎるようでは、身に付ける意味がないですから。
内戦でじゅうたん爆撃したり、拉致した子供を少年兵にするために人を撃たせて洗脳する場面など、残虐なシーンも多いですが、ディカプリオの熱量を感じるとともに、ダイヤにまつわる闇を知ることができる良作です。
知らなかったでは済まない教訓: ダイヤモンドが欲しいって? 知らずに戦争に加担してるかもよ