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「ミュージアム」~ネタバレとツッコミ

グロ耐性のない方、緊迫感で心臓が痛くなるような方は避けましょう。(2016年)
おすすめ度★★

あらすじ

現場に謎のメモが残される猟奇殺人事件が矢継ぎ早に発生するが、その事件は雨が降る日のみ起こっていた。一連の事件の関連性を察知した沢村久志刑事(小栗旬)は、自分の妻子が狙われていることを知る。やがて、カエルのマスクをかぶったカエル男の存在が浮かび上がり、犯人に近づいていく沢村だったが、カエル男の仕組んだわなにはめられ窮地に陥り……。

シネマトゥデイより

えーっとですね・・・まず、R指定ないのが疑問な映画です。

確かに、猟奇殺人の被害者の死体そのものについては、直截的なグロさをあまり見せないようにしてる感じはします。

でも、全年齢OKだからといって、妖怪ウォッチやプリキュア年齢のお子ちゃまに見せたりしないようご注意ください。

で、映画の内容ですが。

この先はネタバレを含みます。
未見の方はご注意ください。





「セブン」と似てるという指摘があるのは知っていましたが、映像として特にセブンと似ているかというと、違うと思います。

罪名に沿って私刑にするプロットはまあ似てますが、これは漫画原作作品ですから、意識しているとすれば原作段階でしょう。

連続殺人のターゲットにされた人たちの共通点が、ある裁判員裁判で選出された民間人たちだったということが途中でわかります。

そしてそのとき死刑判決を受けた容疑者はその後自殺しますが、実は冤罪(えんざい)だった、と。

その時の事件というのは、少女を殺害して透明樹脂の立体の中で固め、標本のように作り上げて大衆の前に置いたというもの。(デカい上に200キロくらいありそうだったけど、どうやって人目を避けて運んだのかなー?)

冤罪だった元受刑者の代わりに誰かが復讐をしているのかと思いきや、真犯人のゆがんだ自己顕示欲による犯行でした。

つまり、「俺の芸術作品なのに作者間違えんなやボケ!」てことです。

じゃあ犯行声明出すか、公判中に別な「作品」作ってみせとけば間違えられずに済んだのに、という悪魔的なツッコミが浮かぶのを押さえつつ、話は進みます。

ターゲットをつかまえて、立てた構想のとおり殺して「作品」に仕上げる。それを集めたものが「ミュージアム」というわけですね。

その割には沢村の後輩刑事を雑に殺してしまうんですが、芸術品に仕上げない殺人はどうでもいいらしく、気まぐれな芸術家さんです。

小栗旬は、妻子が犯人に連れ去られ精神的に追い詰められていく刑事を熱演してます。

出演者に関して小栗旬主演という予備知識しかない状態で観たせいもありますが、カエル男が妻夫木聡だということにまったく気が付かないまま観終わってしまいました。

「普通の男」の役が多い彼にとって新境地だったのかもしれませんが、カエルのマスクを取っても特殊メイクだし作り声だし、妻夫木聡がやる必要あったのかなあ・・・ちょっともったいない感じというか。

で、何で★2つなのかというと、やはりいろいろご都合主義なところとかツッコミどころが気になってしまうんです。

ツッコミを楽しめる場合はいいのですが、これはそういうタイプの作品じゃありません。でもタフな方ならそのラインを超えて、ツッコミがコメディレベルに面白くなってくるかもしれません。

同じ長テーブルに大勢座ってるような混み合う居酒屋で、刑事同士が事件に関する重要な会話するとか、ありえないでしょう。

同じテーブルの斜め向かいに座ってる客が、実は追っている犯人(カエル男)て・・・。それで、刑事二人の会話を録音されるという間抜けさ。

追跡カーアクション後には、犯人がダンプに乗り換えて沢村の車を潰そうとしますが、展開が予測できるような状況でもなかったのにどうやってダンプ調達したの? たまたまダンプがキー付きで乗り捨ててあったんでしょうか。

しかしいきなりダンプ運転できるって、カエル君のポテンシャルすごい。

そして、中華料理屋でアレルギー食材が入ってることでキレた客を見て、
雨ガッパにカエルマスクの扮装→陽が照ってきたら走り出した→首んとこ掻いてた→「光アレルギーだ!!」て。

 絞り込み加減がすごいピンポイント。しかも、聞き込みに行った先の病院から聞いた研究所の専門医である女医が、カエル男の実の姉という超偶然。

そして、芸術完成には沢村刑事(小栗旬)が必要だというカエル男は、自宅をその舞台とすべく、準備をして待っています。

でもその芸術(殺害方法)の構想は、沢村が自分の正体を突き止め、しかも自宅へ一人でやってこないと成立しないんですよ。

そんな都合よく行くかいな、と思いますが、行っちゃいます。

来なかったら何ヶ月も妻子を監禁して待ち続ける気だったのでしょうか。先に他の刑事が来るとかの想定は無いんでしょうか。(実際無いんですけど)

そしてお約束通り一人で踏み込んだ沢村(小栗旬)は、カエル男に捕まって監禁されます。

光がダメなモヤシっ子かと思いきや、意外と武闘派なカエル君。

ドアを開けるためのパスワード入力キーのついた監禁部屋の中には、拉致された沢村の妻子の人形が立ってます。

「ここから出るにはあいつの遊びに付き合うしかない!」と、与えられたジグソーパズルを作り始める沢村。

こんな状況でジグソーパズル作りにいそしむ理由をちゃんと独り言で説明してくれる親切仕様です。

途中でエサのように投げ入れられたハンバーガーにもかぶりつきます(食うんかい!)。

監禁部屋の隣では、カエル男は手回しのマシンで肉をミンチにし、ハンバーグを焼いているのですが、そばには謎の肉が天井からぶらさがってる。まさかその肉は・・・という、想像に訴える系のグロいシーンです。

そして沢村は、仕事ばかりで妻子の寂しさに向き合ってこなかったこれまでの自分を思い返し、感情が高ぶって部屋にある妻子の人形に土下座&すがりついて泣くのです。

えええぇぇえ、いくら異常な状況でも、人形に謝って泣きつく!?

やっとパスワードを割り出して部屋を出る沢村ですが、こんなに完全にコントロールされて相手の手の内にいる状況下だというのに、その自覚もなくさらに冷静さを失って銃をバンバン撃ちながら家の中でカエル男を追って行きます。

そして犯人は同じカエルの扮装をさせた妻と瞬時に入れ替わり、沢村に撃たせようとします。

で、あんなにバンバン撃ってた沢村が、突然視界に入ったカエル姿の人物を前に瞬間的に撃たず、急にもしや・・・と中身が妻であると気づくって、エスパーですか? 

その直前にはフェイクの生首を見せられて妻子が死んだと思い込んでるのに? 

しかも妻は子供を助けるため、その条件として夫に撃たれようとするはずが、グェェとマスクの下で泣き声を漏らしながら床に崩れ落ちちゃいます。

そして「子供を助けるためなの、私を撃って!!」って。カエル男のふりして立ってさえいれば、ちゃんと撃たれてましたよ?

そうこうしてるうちカエル男が妻の頭に銃口を突きつける状況となり、その現場へ踏み込んで来た刑事たちに銃を向けられにらみ合いになります。

こういうサイコなら、自分が撃たれることになろうが迷わず沢村一家の誰かを殺して高笑いでもしそうなところ。

でも結局、沢村たち一家には手を出さず外へ逃げ出し、太陽光を浴びて「うあああぁぁ」と倒れて御用。

沢村と妻子が死なずに助かる経緯が都合良すぎな感がいなめません。

カエル男が光過敏症になったのは、幼児期に経験した両親惨殺の心因性によるもののようですが、助かったあとの沢村の息子にも光過敏症のような症状が出るシーンで話は終わります。

未来のカエル男誕生か・・・を匂わせるわけですが、沢村夫婦は関係が改善されて幸せ家族に戻ってるわけで、カエル男みたいに精神はゆがまないだろと思うのですよね。

役者さんたちの演技はみんな良いのですが、いろいろと浮かぶツッコミを抱えながらハラハラさせられるシーンが続き、体力消耗します。

あと、裁判員制度を批判したい意図があるのかわかりませんが、「裁判員に選ばれて、他人の一生を左右する責任負いたくないなー」という思いが残ってしまいます。

 

全年齢OKについて

R指定がついてしまうと地上波での放送が難しくなるんですが、小栗旬、妻夫木聡といった人気俳優の出演作のため、無理くりR指定免れるようにしたんじゃないかと勘ぐりたくなるレベルです。

これが全年齢OKなら、今まで規制されてきた数多くの映画は何だったのかと思うのは私だけじゃないはず。

いずれにしてもこの作品はグロ耐性のある大人のかた向けですので、ご注意ください。

そしてグロさとは別に、後半は特に緊迫感がずっと続くので力が入ってしまい、観ていて非常に疲れます。

ハラハラ感が好みの方は、たっぷりめにトッピングされてる感じなので楽しめると思います。そうでもない方は家で観るほうが、いろんな意味で薄まってちょうどいい作品かもしれません。

防犯教訓:
 普通人に見えるサイコパスにご用心
 異常者がカエル君のように
 わかりやすいとは限らないのだから

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