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「シンデレラ」~『コレジャナイ感』が湧き上がるプリンセスストーリー

 

プリンセスストーリーの代表とも言える「シンデレラ」。誰もが知るストーリーを実写で描いた作品ですが、「やめといたほうが良かった」感満載です。(2015年)
おすすめ度★★

あらすじ

貿易商を営む父親が再婚し、継母とその連れ子である姉妹ドリゼラとアナスタシアと暮らすことになったエラ(リリー・ジェームズ)。だが、父親が不慮の事故で命を落とし、それを機に継母と義理の姉妹からつらく当たられ、召使いのように扱われる毎日を送る。勇気と優しさが魔法の力になるという亡き母の教えを胸にひどい仕打ちに耐えてきたエラだったが、ついにこらえきれずに家を飛び出してしまう。森へと馬を走らせた彼女は、城で働いているという青年キット(リチャード・マッデン)と出会い、心惹(ひ)かれるが……。

シネマトゥデイより

2回観たいと思えない、典型的作品。
ディズニー制作ですよね?何でこんなに安っぽくなっちゃったの?

制作年が古いわけでもないのに、このもったり感とチープ感。そしてストーリーの無理なアレンジ感。

シンデレラ役のリリー・ジェームズは、もちろん美人さんなのですが、おとぎ話の主人公のようなキレイ可愛いタイプじゃありません。好みによりますが、キャスティング的に微妙・・・。ついでに言うと王子様役のリチャード・マッデンもなんか『王子感』が無く、どうもノれない。王子というより、現代のイケメンさんでは(女性ウケ狙い?)。

母が亡くなり、父親が再婚してできた継母とその娘2人にいじめ抜かれるエラ(シンデレラ)。そもそも、パパってば何でそんな女と再婚しちゃうかね、という疑問は置いとくにしても、ツッコミどころが多すぎです。

まず、父親が出張中、つまりまだ死ぬ前に屋根裏に追いやられるエラ(シンデレラ)。継母も、いくら家をあけている間とはいえ夫が生きてる間にそんなにわかりやすいことしたら、帰ってきた夫にどう言い訳するのかね。(結局出張先で急死したので問題なしになってますが)

そして使用人がわりにこき使われるシンデレラ。そんな仕打ちに従いながら耐えるという姿は、絵本やアニメでならすんなり流せても、実写として生身の人間が演じるとなると難しい。特に現代女性たちから見れば「なんで立ち向かうこともせず、言いなりなの?バカじゃね?」となるだけ。

おそらく制作側も「ちょっと無理があるな」と考えたのでしょう。その点はもちろん、他の設定にもアレンジを加えています。

いじめられるがままというのは、『亡くなった母との約束(勇気と優しさを持つこと)を守るため』という設定です(強引だな)。

「とっとと家出ればいいじゃん」というツッコミ対策には、シンデレラのセリフの中でわざわざ理由を説明させてます(だから対策が必要な時点で無理があるんだってば!)。

もう一つは王子様との恋の問題。原作では、舞踏会でシンデレラを見そめた王子が、残されたガラスの靴を頼りに彼女を探すというもの。ですが、実写でそれだと「一目惚れってなにソレ、結局見た目かーい!」感がいなめない。なので「内面に惚れました」設定にするため、実写では二人を強引に森で出会わせてます。そしてちょこっと会話して「考え方が素晴らしい女性」ということに(これまた強引)。

国王も、アニメでは単純に「王子に結婚させたーい、孫の顔が見たーい」と騒いで、無理やり舞踏会を開催。若い娘を集めて王子に会わせれば恋が生まれるはず~というたくらみのために舞踏会を開くわけです。

でも、実写では「我が国のような小国は政略結婚が必要」と言い、王子の結婚相手に王女を選んで強要します。王子はそれに逆らい、「愛する女性と結婚したい」と、森で出会った娘を探すために舞踏会を開くわけです。

『結婚をせかす親の仕掛けにまんまと乗って一目惚れで結婚』という流れは、現代の感覚では間抜けすぎ。なので、『政略結婚を拒否し、主体的に相手を選ぶ王子』という形にするための設定なのですね。しかも、原作にはない展開で国王死んじゃって、王子が即位。都合よく殺しすぎだろ。

何というかですね・・・そもそもが「夢見がちな小さい女の子のためのプリンセスストーリー」なわけです。簡単に言えば『玉の輿ものがたり』ですから。おとぎ話としても、時代性にしても、当時はすんなり受け入れられた設定なんですね。それを実写にした時点でどうしても生々しさが出る上、現代の感性とは合わない部分がそこかしこに出てくる。それを現代の感覚のフィルターで見ても何とか持ちこたえられるよう無理に補正するもんだから、よけいちぐはぐな感じが強調されてしまう。

しかも、補正しないほうがいいところまでやっちゃってます。カボチャを馬車に変え、シンデレラを変身させる魔法使い。アニメでの、孫を見守るような優しいおばあさんのほうがずっといいのに、なぜかド派手なコスプレしてるみたいな妖精登場で、安っぽさが全開に。

本当ならおすすめ度1つにしたいところ。2つにしたのは、継母役のケイト・ブランシェットの美しさと存在感、ドレスの着こなしが素晴らしいから。逆に言えば、名女優の無駄遣いに頭を抱えたくなります。

こんな仕上がりになるくらいなら、欲張らずに子供だけをターゲットにして、現代の感覚と合わなかろうとも原作アニメに忠実に作ったほうが良かったのでは。それなら、ネズミたちが最後にシンデレラを助けてガラスの靴を履けるようにするファンタジーもOKだったし。自力で部屋を出ようともせずに感傷に浸って歌ってるだけ、ってよりマシでしょう。

結論としてはやっぱり「実写、やめときゃよかったのにね」なのでした。

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