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「チェンジリング」~怒りと重苦しさ。でも目が離せない(ネタバレあり)

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こんなことがまかり通っていいのか、という怒りがわいてくる映画。実話を元にしてるということが信じたくないレベルのストーリー。(2008年)
おすすめ度★★★★

あらすじ

1928年、シングルマザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、ロサンゼルス郊外で9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と暮らしていた。ある土曜日、彼女は同僚に泣きつかれて断り切れずに休日を返上して仕事へと向かう。暗くなって彼女が帰宅すると、家で一人で留守番をしているはずの息子の姿はどこにもなかった。

シネマトゥデイより

最初、電話交換手として働く女性たちのヘアスタイルとファッションが、クラシカルで素敵だなあと思っていたのもつかの間、クリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)の9歳の息子ウォルターが行方不明になってしまいます。シングルマザーのクリスティンは、休みの日に同僚の頼みで出勤したのですが、帰ってきたら息子がいなくなっていたのです。

そこから始まる、警察の対応のひどさ。翌朝には99%が帰ってくるから子供の行方不明は24時間捜索しないと言い、取り合ってもらえない。家出する訳もないウォルターは当然、翌日になっても戻ってきません。警察の捜索に任せておけず、クリスティンは自分で行方不明者相談所への問い合わせをするなどの捜索を続けますが、結局子供は見つからないまま5ヶ月が過ぎてしまいます。

そして、ウォルターが見つかったとの知らせがようやく届き、喜びで泣き崩れるクリスティン。観てる側もほっとするのですが、ここからが地獄の始まりです。

以下、エンディングまでのエピソードを含みます。
未見の方はご注意ください。




子供との対面に出向いて引き合わされたのは、知らない男の子。「私の息子じゃない」というクリスティンの声を無視するだけでなく、その後も警察に息子の捜索を頼む彼女を、「母親としての責任から逃げている」などと恫喝する始末。そう、この頃のロス市警は腐りきっていて、警察に都合の悪い人物は殺したり、精神病棟に強制収容したりしていたのです。

特にジョーンズ警部がクリスティンに浴びせる言葉の数々は、観ていて猛烈な怒りがわいてくるのを抑えることができません。思い返しても胸がムカムカするほどです。

警察の意向に沿った医師やカウンセラーにより、クリスティンは錯乱していると断定され、追い詰められていきます。子供を発見したという功績を覆したくない警察にとって、それに従わないクリスティンは敵なのです。母親自身が「違う」と言ってるのに、その子供を息子とすることを強要するため、現代では考えられないような手段に出ます。

この、強大な権力の前でどうにもならない無念さと、つらい展開が続きます。重苦しくてどうしようもないのですが、目が離せません。母として、子供が消えただけでも苦しいのに、警察からの非道な仕打ちに耐えなければならない彼女に、同情と応援の思いが湧き上がってきます。

そして、カナダからの不法入国・滞在で捕まった少年の証言から、大勢の子供がある男によって拉致・監禁され、殺されていた事実が判明。彼女の息子も含まれていたことがわかります。この展開によって、観ている側のわずかな希望も打ち砕かれてしまうのです。

犯人は捕まって有罪になり、絞首刑によって死亡しますが、最後に会話をしたクリスティンに謝罪や事実を話すことなく、ここでも彼女は心の救済を得ることはできません。事実とはいえどこまで苦しめるんだと、クリント・イーストウッド監督を恨みたくなってくるほどです。

誰もが諦めた5年後、拉致された子供のうち、逃げていて助かった子供がいたことがわかり、帰ってきて両親との再会を果たします。その少年から、息子のウォルターも同時に逃げ出したこと、そして息子がその少年を助けたことを知るクリスティン。

息子もきっとどこかで生きているという希望を持つクリスティンの姿で、話は終わります。そしてテロップで、彼女は生涯息子を探し続けた、と。

DNA鑑定の無かった時代です。でも、無かった時代だからこそ、見つかった骨の個人特定に至らず、彼女は生涯希望を捨てずにいられたのでしょう。どちらが良かったのか、簡単には言えません。

アンジェリーナ・ジョリーの演技は本当に見事です。悲劇に見舞われながらも過剰な表現に走らず、抑制の効いた演技で苦悩と悲しみ、怒りを表現しています。この時代の女性らしい、自制心が良く伝わってくる演技です。

この映画は決して愉快でもなく、スッキリするわけでもありません。むしろ怒りと苦しさが残る作品といえます。でも、目が離せなくなる力量をずっしりと感じることができる良作です。

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