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激しい雨の夜、10人の男女それぞれがいろんな事情でモーテルに避難することになり、偶然集まることになる。一方、まったく違う場所で、ある死刑囚の再審理が行われようとしていた。そしてモーテルに集まった10人は、一人ずつ何者かに殺されていく。犯人不明の連続殺人と、死刑囚再審理との関係は。ラストの衝撃に鳥肌が立ちます。(2003年)
おすすめ度★★★★
解説
激しい豪雨が降り続く夜、人里離れた一軒のモーテル。管理人ラリーがくつろいでいるところへ、ひとりの男が飛び込んでくる。彼、ジョージは息子ティミーを伴い、交通事故で大ケガをした妻アリスを運び込む。救助を要請しようとするが電話は不通だった。アリスをはねたのは女優キャロラインの運転手で元警官のエド。彼は病院へ向け車を走らせるが、途中で立ち往生し、やむなくモーテルへ引き返すことに…。ある時、ある一室で、既に死刑判決の下った事件について再審理が行われようとしている。ポイントとなっているのは、その事件の連続殺人犯である囚人が書いた日記だった。
allcinema ONLINEより
オープニングは、ある死刑囚の会話のテープを、精神科医が再生して聞いているシーン。そして、その死刑囚について再審理を行うことが決定したため、移送されることがわかったところで、場面は嵐の中のモーテルへと切り替わります。
この「死刑囚の移送」という情報が、その後の登場人物について、あるミスリードの役割を果たすのですが、このあたりはミステリー慣れしている人ならば、おそらく疑いを持つと思います。
孤島のお屋敷とか道が寸断された山荘とかで、滞在客が一人ずつ殺されていくというのは、サスペンス・ミステリーによくあるパターンです。この作品も、洪水で進めずモーテルにカンヅメ状態になることで、終盤までそのパターンをなぞり、緊迫感が続きます。激しい雨と、夜という状況も、陰欝さに拍車をかけます。
しかしモーテルに集まった男女10人は、このパターンにありがちな「謎のオーナーから招待を受けてやって来た」とかではありません。皆が何らかのアクシデントで、偶然に身を寄せた人たちです。
つまり、何の共通点もないはずの人たちなので、特定の人物から恨まれて殺されているとも思えない。それなのになぜ一人ずつ死んでいくのか。(実は重大な共通点がある人物たちなのですが、ネタバレに触れるので控えます)
しかも、死んだ人が持つルームキーのナンバーが、カウントダウン式になっていく。アクシデント的に死んだ人まで、そのルールに添ったナンバーのキーを持っている。
このあたりで、「あれ、これはもしかして・・・」と、ミステリー好きの人ならば何となく読める展開が見えてきます。そして遺体に、ある現象が起きたことで、それは確信に近くなります。
その後にわかる衝撃の事実。でも、「想定の範囲だなー」という人が多いかもしれません。でも、そこで終わらないのがこの作品。真犯人の生い立ちを考えると、納得できるラストです。どんでん返し系の映画には強引すぎる演出がありがちですが、この作品はあまり無理なく上手くまとまっています。
ネタバレすると観る意味はほぼゼロになる作品なので避けますが、ヒントはタイトルにあります。どうせなら、伏線と思われるものもあまり考え過ぎないようにして観るのがオススメです。