スポンサーリンク

「美女と野獣」~ディズニーアニメ実写化の完成形

ディズニーアニメ「美女と野獣」の完全実写化作品。ディズニーらしさ全開で、夢のような映像が展開されます。(2017年)
おすすめ度★★★★

あらすじ

進歩的な考え方が原因で、閉鎖的な村人たちとなじめないことに悩む美女ベル(エマ・ワトソン)。ある日、彼女は野獣(ダン・スティーヴンス)と遭遇する。彼は魔女の呪いによって変身させられた王子で、魔女が置いていったバラの花びらが散ってしまう前に誰かを愛し、愛されなければ元の姿に戻ることができない身であった。その恐ろしい外見にたじろぎながらも、野獣に心惹(ひ)かれていくベル。一方の野獣は……。

シネマトゥデイより

アニメの実写化というのは、元のアニメに思い入れが大きい人が多い分、いろいろと難しい面が大きいのですが、この作品は原作アニメファンも満足させるだけのクオリティを実現しています。

エマ・ワトソンは、りりしい感じの顔立ちも、意思が強く自立心が高いベルという役に良く合ってたと思います。

ディズニーアニメをディズニー自身が実写化したことで、制作者のイメージどおりの映像を再現できた感じ。テーマにブレもなく、一貫して描かれる「愛」、そして「夢」。

オープニングの、お城での華やかな舞踏会なんて、まさにおとぎ話の挿絵の世界。でも、おとぎ話的ストーリーを実写化した映画はいくつもありますが、この作品を観てはっきり感じたのはディズニー特有の『ディズニーっぽさ』。

酒場でのミュージカルのほか、いくつかのシーンで感じたのは、奇妙なデ・ジャ・ヴ。

「あれ、この感じどこかで・・・?」と思って思い出したのは、『カリブの海賊』とか『ホーンテッドマンション』とかのディズニーランドアトラクションにいるときの感覚。実写のプリンセス映画と、ややダーク系アトラクションは、全く違う創作物。なのに共通するテイストを感じて、「『ディズニーっぽさ』って、形を変えてもにじみ出るものなんだな・・・」と、ちょっと驚きました。

映像は美しく、魔法によって家財道具に姿を変えられた召使たちのCGも違和感なく実写に溶け込んでいます。ディナーシーンのミュージカルの映像美と躍動感は、まさに夢の世界。日常を忘れる瞬間です。

欲を言えば、ベルと野獣が心の距離を縮めていく描写がちょっと物足りない。微笑ましいのですが、でもちょっと簡単にいきすぎるというか、もう少しその部分に時間を割いてほしかったな。

正装した野獣と、黄色いロングドレスのベル。心が通った二人が、誰もいないホールで二人きりでダンスを踊るシーンは、「BEAUTY AND THE BEAST 」の美しいメロディと相まって、感動を誘います。観ていて思わず涙ぐんでしまったほど。

そして、野獣の姿をしながらも繊細だったり、短気を反省したりして変わっていく様子にギャップ萌えしてしまった私は、呪いの魔法が解けて王子に戻ったら普通すぎて、「あれ??野獣でいるほうがカッコ良かったかも!?」状態に。しゅるしゅるしゅる・・・と気分が萎えてしまい、何だかハッピーエンドに逆行する感覚に。

それにしても、舞踏会にいきなり侵入してきた老婆に優しくしなかったからって、王子に召使いもろとも呪いの魔法をかけるってどうなのよ?

その老婆は、実は美しい魔女。王子の傲慢さをこらしめるためにやったかのような設定ぽいけど、そんな目に合わされるほどひどい人だっけ?どうも魔女のやりすぎ感がぬぐえず、王子と、そして連帯責任がごとく呪いをかけられた召使いたちは、どうみても被害者では・・・。

魔女の仕打ちが何だか正義の審判みたいな扱いになってるけど、なんかそれって納得いかない。いわゆる悪い魔女系の呪いならともかく、良い魔女の「罰を与えます」的なものの割には理不尽すぎ。「更生するなら呪い解けるけど時間制限付きね、間に合わなかったら終身刑だけどー」って、そんなのありですか?

野獣のままってのもひどいけど、召使いたちにいたっては、話すことも動くこともできなくなり、完全に硬直して道具化。この魔女の仕打ちにツッコミが入らないのが不思議です。呪いの魔法が解けてハッピーエンドのため、この理不尽さはウヤムヤになってるけどね。

全編を通して映像もカメラワークも良くて、作品のクオリティは文句なし。実写として完成形と言えるでしょう。でもなんというか、CG映像も演出も、ほぼ予想どおりなんです。原作に忠実に作ろうとすれば仕方ないのかもしれませんが、安定のクオリティとは違う部分で、もっと「意外なディズニー」を観てみたかったなあ。

Pocket

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする