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「コララインとボタンの魔女」~中毒性のあるダークファンタジー

 カラフルでありつつも、奇妙な不安感に終始包まれる、不思議なダークファンタジー。ストップモーションアニメとは思えないほど滑らかな動きと映像美に目を奪われます。(2010年)
おすすめ度★★★

 

あらすじ

コララインは両親と新しい街に引っ越して来るが、二人とも仕事が忙しくてちっとも自分にかまってくれず不満に思っていた。一人で外出すると、ワイビーという少年が黒猫と共にどこからともなく現れ、また姿を消す。コララインは退屈しのぎに築150年のアパートの探検を始め、その最中にレンガで封印された小さなドアを発見する。

シネマトゥデイより

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いやー、オープニングで金属製の骨みたいな手先が出てきて、ぬいぐるみをほどいてリメイクするシーン。このディテールが圧倒的で、まるでCGみたいな映像に目が釘付けになります。

縫い目をほどいて綿を取り出して・・・という作業が、呪いを込める不気味な手術のよう。この不穏な空気がそのまま展開されていきます。

ピンクパレス・アパートという名の、一軒家タイプの集合賃貸住宅に越してきた少女・コララインと両親。

上の階の住人はトビネズミでサーカスをするという珍妙なアクロバット男、下の階には、太ってて派手な、元女優らしき老婆の姉妹。

周辺の登場人物の奇人ぶりだけでなく、天気は常に曇天か雨、閉ざされた謎のドアを開けてたどりついた異世界はいつも闇夜という、ダークな映像が続きます。

登場人物も光景も不気味なのだけど、極めつけは異世界にいる人物たち。みんな目がボタン! ヒィィーー!! これ、小さい子供が見たらトラウマレベルのコワさ。

実生活のコララインのパパとママは二人とも園芸ライターの仕事で忙しく、食事も手抜き、娘の話を聞こうともせず全くかまってくれない。

ところが異世界でのパパとママは、目がボタンであることだけ見た目が違ってるものの、すこぶる優しい上に、美味しい料理にプレゼント、と至れり尽くせりで理想の両親。居心地がいい異世界のほうの生活に惹かれていくコラライン。

でもまあ、自分にとってすべて都合よくて理想的な世界なんて、そんなうまい話があるわけはない。やっとワナだと気づいたコララインが異世界から本当の世界へ戻るために魔女と闘う、というのが大筋のストーリー。

はっきり言ってストーリーは大したことなく、ツッコミどころもたくさんあります。

なんで異世界に取り込むには目をボタンにしなくちゃいけないのか、そのルールの謎も結局わからない。たぶん、心身を「(あやつり)人形にする」という象徴なのだとは思うのですが。

それに、コララインは現実世界と異世界との間を行き来していて、異世界にいるときに魔女は簡単にコララインを支配できそうなものだけど、そうするわけでもない。

魔女が異世界で優しいニセママを演じて、「このままここにいたいなら、目をボタンに変えましょ」などと意思尊重スタイルで誘導する理由も不明。(まあ、心理的にだんだん取り込まれてゆくというほうが不気味さが増すけれど)

そして「千と千尋~」の千尋みたいに、異世界で苦難を乗り越えて精神的成長を遂げるような腹落ち感もない。

なんだか文句ばっか言ってしまったけど、でも、私はこの作品が大好きだ。

死んだ飼い犬を剥製にして並べる老婆姉妹の悪趣味さ、異世界でのトビネズミのサーカス、妖怪植物の毒々しいガーデン、老婆二人が半裸で繰り広げるニュージカルの醜悪さ。

目がボタンのニセママが正体を見せ始めた時にコララインにすすめるお菓子なんて、チョコの箱を開けると、並んだ紙のカップにはそれぞれ1匹ずつ、うごめく虫が入ってる。

それだけでもゲーッ!って感じなのに、ニセママの魔女が、手足をばたつかせてるココアゴキブリ虫をつまみ上げ、食いちぎってムシャムシャ食べるのですよ。

しかもご丁寧に、噛むときにシャクシャクシャク・・・と美味しそうな効果音付き!! イーーヤァァーーーー!!

何だこのキモチワルさは!?

子供ウケガン無視。

・・・面白いじゃねーか!!

と、私などは思ってしまうのだけど、全編通して明るさはなく、細かいディテールにまで気味悪さを乗っけてくるので、苦手な人はダメだと思います。

でも、ストップモーションアニメとは思えないほどの、人形たちの表情や動きのなめらかさ。

異世界での異様なショーパフォーマンスのゴテゴテ感、ニセ者パパが乗る巨大カマキリ型トラクターのガジェット感。

そして家や店の中の家具や小物はもちろん、風景に至るまで、あらゆるシーンの作り込みの素晴らしさ。特に造形好きな人なら、展開される映像のワクワク感に目が離せないと思う。

そんなわけで、ちょっとクセと中毒性のある「目のお菓子系」作品。総合的おすすめ度は3ですが、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』が好きな方なら、5のおすすめ。

危機よけ教訓: 
 異様に厚いオモテナシは
  ワナだと思え

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