大ヒット作「君の名は」で、グローバルに成功した新海誠監督作品。
15歳男子高校生と27歳女教師が、雨の日の公園逢瀬(?)で互いに惹かれていくという、一歩間違えば条例とか法にひっかかって問題になりそうな二人のストーリー。(2013年)
おすすめ度★★
あらすじ
靴職人を志す15歳の高校生タカオは、雨が降るといつも学校をさぼって公園で靴のスケッチに熱中していた。そんなある日、彼は27歳のユキノと出会い、雨の日だけの再会を繰り返しながらお互いに少しずつ打ち解けていく。タカオは心のよりどころを失ってしまったユキノのために、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作ろうと決心する。
シネマトゥデイより
なんだろう、このモヤモヤ感。
観終わってから映画の内容を反芻するより、モヤモヤの原因に思いを巡らすという、私にとって珍しい作品。
単純に言えば、主人公二人の行動のリアリティーのなさとか、ポエム調のセリフとか、女教師の暗さとか、いろいろあるんだけど。そういう部分じゃない。
生徒からのイジメで精神的に参ってしまい、学校に行きたくない女教師・雪野。
公園の四阿(あずまや)でビールを飲みながらサボっていると、そこへ同じく学校をサボった男子高校生・タカオがやってくる。
タカオは、雨の日は電車の乗り換えをやめて公園で半日サボることにしてるという。靴職人になりたいという夢があるタカオは、そこで靴のデザイン画を描いたりしている。
「サボるのは雨の午前中だけにしようって決めてるんです(キリッ)」って言われても・・・。なんか、「万引きは300円までって決めてるんです!」って胸張って言われたような違和感。(ちょっと違うか)
タカオは、ネグレクト気味の奔放なシングルマザーに代わって夕飯の支度から弁当作り、バイトまでやってる15歳の男子なんだけど、見た目も生活ぶりも大人びてて、今時こんな子いるのかねと思うような子。
そんな出来杉クンが雨のたびにいつも半日学校サボるとか、どうなの?
息抜きって理由らしいけど、無理があるとしか・・・。大体、雪野を自分の学校の先生だって知らなかったって、そんな無理筋な設定ってアリですか?
雪野は、学校での生徒とのトラブルで同僚教師の恋人とも別れたメンタルダメージのせいか、味覚障害気味でビールとチョコレートくらいしか味がわからないという状況。
しかし、だからって登校拒否で公園でビールってどうなのよ?ていうか、うらやましすぎるわ!!私も仕事サボって朝から公園でビール飲んでみたいっつーの。
45分という短編のため、雪野の生徒とのトラブルも元カレらしき男性も断片的にしか出てこないし、タカオの父親がいなくなった経緯もわからない。
とにかく二人の背景がわからなすぎて、惹かれあうまでに発展する経緯も感情移入できないんです。
何でこれほど説明不足のままになってしまったんでしょう?最初から45分という時間枠が決まっていたのなら仕方ないですが、消化不良感がすごいです。
で。感想を整理していたら、何でこんなにモヤモヤするのか、だんだんわかってきました。
映像は、とにかく綺麗です。特に、アスファルトに溜まった水にネオンが映る様子とか、池の水面にせり出した木の枝とか、「え?実写?イラスト?」と思うくらいリアルなシーンもあります。
そして、エンディングテーマの「Rain」。
大江千里作の秦基博カバー版ですが、歌詞に使われている単語やシチュエーションが映画の内容とリンクして、感動を誘います。
というか、マッチしすぎて曲から逆算して映画作ったんじゃないの?って思うレベル。
時折挿入される、釘付けになるようなリアルな風景と素晴らしい楽曲がある一方、前述のように無理のある設定とか消化不良感とかが積もってくる。
その不満そのものより、それらを映像美とエンディングテーマ曲で強引にねじ伏せられる感覚が、どうも抵抗を感じてしまうのだと思う。
映画は総合的に楽しめればいいものなので、何に魅力を感じてもいい。だけど、おいしいお菓子(破綻のないストーリー性)が入っているとばかり思って買った箱が、フタを開けたら他のもの(映像美とテーマ曲)で予想外に上げ底仕様になってた、みたいな。
もちろん、私が上げ底と感じてしまった部分をむしろ評価点として感動する人もいると思うので、それが悪いとか間違いとかではないんですが。
なので、どちらの印象が強いかで評価の高い低いが極端に分かれそうな作品です。
それと気になったのは、ステマとしか見えないいくつかの商品描写。
雪野の飲んでるビールや大量のチョコレート、タカオの兄のシャツのロゴなど。どれもメーカーやブランドがガッツリ出てますが、スポンサーなんでしょうか?
特にビールは何度も同じ銘柄の缶が出てくるので、あまりのベタな演出にちょっと引きました。
おうちでシネマ。
映画・ドラマ・アニメ・バラエティ
定額見放題「Hulu」
2週間無料トライアルはこちら
↓↓↓↓↓