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「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 」~実在した天才詐欺師の魅力

実在した天才詐欺師、フランク・ウィリアム・アバグネイル, ジュニアをモデルとした人間ドラマ。(2002)
おすすめ度★★★★

 解説


 高校生のフランク・W・アバグネイルは尊敬する父が母と離婚すると聞き、ショックで衝動的に家を飛び出してしまう。そして、生活のため偽造小切手の詐欺を始めるようになる。最初はなかなかうまくいかなかったが、大手航空会社のパイロットに成りすますと誰もがもののみごとに騙された。これに味をしめたフランクは小切手の偽造を繰り返し巨額の資金を手に入れるのだった。一方、巨額小切手偽造詐欺事件を捜査していたFBI捜査官カール・ハンラティは、徐々に犯人に迫っていくのだったが…。

allcinemaより

まず、スタンプを押したようなかすれ感のある、レトロな雰囲気のアニメーションのオープニングロールから始まります。

キャストやタイトル名のスペルのレタリングの一部から長く伸びたラインを、アニメの一部として組み込むデザインがすごくお洒落。

次々と展開するイラストの色使いや構図のセンスも素晴らしく、このオープニングだけ何度も観たくなるほどです。偏った評価と言われても、おすすめ度4つのうち2つはこのオープニングに対してのものです。

レオナルド・ディカプリオが演じるのは高校生フランク。

両親の離婚を受け入れられず家を飛び出すのですが、大人になりすますだけでなく、パイロット、医師、弁護士へと身分詐称した上に実際にその職場で働くという大胆さ。

天才的な手法を駆使して、身分詐称と小切手詐欺を重ねていきます。モデルとなったフランク本人も、ルイジアナ州の司法試験に合格しているくらいなので、実際に相当頭が良かったのでしょう。

しかし学歴を詐称するだけでもいつバレるかと心臓に悪い気がするのに、医師のフリして病院にいるとか、私なら寿命が縮みます。

日本でも時折、医師免許がないのに医者として長年診察していたとか、教員免許がないまま教師をやっていたとかのニュースを見かけますが、そういう人って偽りの状態で自分を周囲に認識されていて怖くないのかなあ・・・ウソが平気な人とそうでない人の違いなのでしょうか。

フランクが詐欺を働く根底には、幸せだった頃の家族を取り戻したいという、愛情を渇望する思いが見えます。だから、犯罪者であっても憎めないんですね。

そしてFBI捜査官としてフランクを追う側のカール(トム・ハンクス)。

彼も、フランクを捕まえられず振り回されながらも、憎しみの対象と見てはいません。これってどこかで見たような・・・と考えたら、そういえばルパン三世と銭形警部の関係に似ているのでした。

カールはフランクの孤独を理解し、釈放の身柄引受人となるなど、まるで保護者のようです。そして単なる犯罪者ではなく、それどころかフランクを金融犯罪のプロとして、服役の代わりにFBIで働けるように取り計らいます。

アメリカでは、有能なハッカー(クラッカー)はむしろハッキングのプロとしてスカウトし、犯罪捜査に貢献している例もあると言います。フランクのような、どんな捜査員よりも金融詐欺に詳しい人物を放っておくのは損失だと考えるのでしょう。

犯罪者の能力をポジティブにとらえて公的機関が雇い上げるというのは、合理性より倫理性が先に来ると思うので、残念ながら日本では無理でしょうね。

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