英国王役を演じてたコリン・ファースが、ジェントルなスパイとしてキレッキレ&バキバキのアクションをこなす姿に驚きます。(2014年)
おすすめ度★★★★★
あらすじ
ロンドンにある高級スーツ店「キングスマン」は、実はいかなる国の干渉も受けない屈指のエリートスパイ集団だった。ブリティッシュスーツを小粋に着こなす紳士ハリー(コリン・ファース)もその一人で、日々極秘任務の遂行に務めていた。そんなある日、仲間が何者かに暗殺され、彼は街で不良少年エグジー(タロン・エガートン)をスカウトする。
シネマトゥデイより
爆撃で壊れた壁のかけらが文字に変わるオープニングロールで、こういう遊び心が好きな私は、この始まりだけで「絶対好みの映画だ!」と確信しワクワク。
英国的なジェントルさと、反面の不謹慎さが効いていて、無茶なはじけっぷりがたまらない作品です。
クラシックメロディに合わせて人の頭が順に吹っ飛ぶとか、もはや上品なんだか下品なんだか訳わかりません!
ストーリーとしては割とシンプルで、置かれた環境を言い訳にウダついてる青年がスパイ候補生として見出され、成長していく物語です。
あるスパイの男が若くして命を落とします。
その死のおかげで救われたハリー(コリン・ファース)は、死んだ部下の家族を訪ね、幼い息子エグジーに、困ったときは連絡するようにと、メダルを渡します。
母子家庭になって生活が荒れ、17年後のエグジ-(タロン・エジャトン)は、ただの不良青年に成長。
エグジーは警察に捕まった時、メダルのことを思い出してハリーに連絡。釈放してもらい、ハリーからスパイ選抜試験を提示されて候補者として参加することにします。
候補者は9名。他は名門大卒で階級意識の強いエリートばかり。
しかも、労働者階級で学歴もないエグジーをバカにする、鼻もちならない連中です。女性候補者ロキシーだけがエグジーに優しかったのでした。
エリートたちが一人、また一人と、過酷な選抜試験で脱落していく中、残るはエグジーとロキシーだけに。雑草ナメんなよ、がんばれエグジー!!とこっちの鼻息も荒くなります。
潜在能力がありながら環境に恵まれずクサっている人物が、わかる人に見出されて能力を開花させるというパターンが好きな私には、まるっと好みの展開。
しかし、コリン・ファースのキレッキレのアクションにはびっくり。エグジーにマナーやスパイ道具について教えるところも、まるで父親のようで良かったですね。
そして英国といえば雨。傘型の武器はもちろん、紳士靴や万年筆など紳士の持ち物にも仕掛けが。革新的なのかレトロなのか、このへんはスパイ映画らしさが良く出てます。
過去のスパイ映画へのオマージュも散りばめられているので、スパイ映画ファンは楽しい発見が多いでしょう。そうじゃなくてももちろんじゅうぶん楽しめます。
しかし、敵のIT富豪ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)の思想がぶっとんでで、ギャグレベルなんです。
環境問題を何とかしなきゃ → あ、人口多すぎるのが問題だよね → 権力者やセレブだけ残ればいい → 他の雑民は殺して数減らせばいいね!って何だそれ。要はワールドワイドな間引き計画。
ヴァレンタインの部下にはガゼルという名の両脚義足の女の殺し屋がいるんですが、この人すごすぎ。演じているのはソフィア・ブテラというダンサー・女優さんです。
アルジェリアから移住したフランスで新体操の代表にもなったとのことで、身体能力がハンパじゃありません。
両足の義足の先が鋭利な武器になっていて、スパイの一人がその義足で身体を縦真っ二つにされるという、ギョッとするシーンも。
でも、ソフィア本人は本当は義足じゃなく合成なのですが、リアルすぎてCGには見えないため、まるで両脚先が武器になっているアンドロイドのよう。その華麗な動きに見入ってしまいます。
ヴァレンタインが仕掛けたテロを食い止めるため、テロカウントダウンパーティーに参加者のフリをして潜入するエグジー。
でもチェックが携帯提示だけとか、敵の部隊から銃を撃たれまくっても全然当たらないとか、ツッコミどころはいろいろありますが、いいんですよ、こういう映画は。
平民の間引きテロを高みの見物しようとパーティーに集まったセレブや要人たちのクズさに辟易したところで、彼らのあったまっがバーーン!!ですよ。
花火になって頭が爆発するという、人が死ぬ様子をギャグにした不謹慎なシーンとわかっていても、日頃、搾取される側の我々平民から見たら、すごいカタルシスなんですよね。ブリティッシュブラックジョークってやつでしょうか。これ、日本の映画じゃできなさそうな演出です。
ハリー(コリン・ファース)が、誘拐後に開放された教授(マーク・ハミル)を問い詰めるシーンなんて、老いた元ジェダイが元英国王からオラオラされてて
、なんかカオスな面白さ。
不満があるとすれば、意外にもエグジーとロキシーのロマンスがなくて、ちょっと物足りないことくらいでしょうか。
青年の成長と師匠の名言、キレのあるアクション、ブラックな演出に見せ場の連続で飽きることなく楽しめます。続編制作も決定しているので、期待大です。
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