風変わりで自由人の大学生ランチョーと二人の親友。彼らが巻き起こす騒動と、ランチョーの信念によって変わっていく周囲の人々。彼が起こす奇跡、そして彼の正体とは。(2009年)
おすすめ度★★★★
あらすじ
行方不明だったランチョー(アーミル・カーン)が街に戻ってくると聞き、ファルハーン(マドハヴァン)とラージュー(シャルマン・ジョシ)は母校に向かう。10年前、三人は名門大学の学生だった。真っすぐなランチョーは異議があれば学長にすら物申し、好きなことに打ち込んでいた。しかし、ランチョーと学長の娘・ピア(カリーナー・カプール)が接近したことから、3人は卒業目前で退学を言い渡されてしまう。
シネマトゥデイより
インド映画といえば、すぐ歌い踊りだす上にやたらと長いイメージで胃もたれする印象が強かったのですが、この作品は歌と踊りはだいぶ抑え気味です。なので、あのしつこさが苦手な方でも大丈夫だと思います。それでも2時間50分ほどあるので、やはり長いのですが。
舞台はインドの名門工科大学。競争に勝つことがすべてと説き、しかも無慈悲な鬼学長のもと、学生のランチョー、ファルハーン、ラージュ―は親友になります。
学長をはじめ、皆が競争にばかり気を取られる中、学問の本質はそうじゃないと主張するランチョー。
急成長中のインドにおいて、学歴社会化は現実問題なのでしょう。出来の良い子にはエリートの道を進ませたいと、ラージュ―のように極貧家庭でも無理をして大学へ通わせるのも、実際にあるのだと思います。(というか、日本だってありますが)
しかしファルハーンのように、本当はエリートエンジニアなどではなく動物写真家になりたいという、親の期待とは異なる夢を抱えたまま言い出せない人もいる。これも普遍的な問題です。親が子供のために良かれと思って強要する進路が、子供の幸せとはイコールではないという悲劇。
ストーリーは、現在と、10年前の大学時代の回想が同時に進んでいきます。卒業後に姿を消したランチョーの情報が入り、彼を探しに行く親友2人と、ランチョーに学生時代の因縁がある学友チャトゥル。
10年前の学生時代の回想が大部分を占める構成ですが、それはまさに泣き笑いコメディ。ぎゅうぎゅうにエピソードが盛り込まれ、おなかいっぱいになりかけたときに、現在部分でまさかの衝撃の展開が。ランチョーの実家にたどり着いた3人の目の前に現れたのは、同姓同名の別人。ランチョーは一体、本当は誰でどこにいるのかというミステリーまでぶっこんできます。ええぇぇえええー今からそこに手広げる!?
和洋中のおかずをぎっしり隙間なく詰め込んだお重が3段分もあるのに、さらに上からカレーをどっさりかけるサービスをご用意しました、て言われたような衝撃。別腹のすき間すら許さないようなテンコ盛り具合は、まさにインド映画恐るべしです。
しかし我に返り、「ミステリーにまで手を広げといて、ちゃんと回収できるんだろうな!?」と思わず画面に向かって脅しの念を送る私。(一応回収はしてありましたので暴れずに済みましたが)
ランチョー探しに同行していた卑怯者のチャトゥルが、最後には案の定情けない状態になり、爽快感要員としてちゃんと役割を果たしてくれます。
インドといえば、ホコリっぽい混み合った町並みとかの印象が強かったのですが、意外だったのは序盤のロードムービー部分の山並や、エンディングでの目の覚めるようなブルーの湖。岩山に囲まれた鮮やかな青色が広がる光景は雄大でとても美しく、画面構成としても最後までサービスたっぷりなのでした。
おうちでシネマ。 定額見放題「Hulu」
2週間無料トライアル