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「帝一の國」~真剣な馬鹿馬鹿しさ、はじけっぷりが気持ちいい!!

 

学園モノでは珍しい、生徒会長選挙物語。会長の座をめぐり、親の代の因縁まで背負って争う、壮絶な戦いをギャグタッチで描く。食わず嫌いせず観るべし!(2017年)
おすすめ度★★★★★

あらすじ

国内屈指の名門校である海帝高校で生徒会長の座に就いた人物には、将来の入閣が約束されていた。首席で入学を果たした新入生の赤場帝一(菅田将暉)には、いつか総理大臣になって己の国を作り上げるという大きな野望があった。彼は2年後に控えた生徒会長選を見据え、全国から集まったトップエリート800人の高校生相手に戦いを挑む。

シネマトゥデイより

最初に謝っておきます。おバカ映画だろうと完全にナメてました。だって、『学園モノ+若手人気俳優』て、カス映画にありがちな組み合わせなんだもん。

で、ハズレ覚悟で観に行ったのですが、予想以上に、いやそんなレベルでなくすごく面白かったです。

 「今人気の俳優・女優出しときゃそこそこ人入るだろ」感が丸見えのスカスカ映画が絶えず公開されるもんで、またかぁーて感じだった訳です。高校生が、好きだの別れたの、スネかじってるお子ちゃまの恋愛模様なんぞどーでもいーわ!!と思ってしまう年代にとって、高校が舞台の作品はハズレ率が高いんです。

そんな訳で、高校の単なる生徒会長選の話なら、大人にはそれこそ「勝手にどーぞ」で終わってしまうところ。それが、将来政界の中枢、ひいては総理大臣を目指す野望達成のためとくれば、俄然面白くなってきます。しかも、主人公・赤場帝一(菅田将暉)と敵対する東郷菊馬(野村周平)とは、それぞれの父親がやはり同じ帝海高校で会長選を戦い、赤場の父が敗れたという因縁まである。互いの父が「あいつの息子には負けるな!!」という、2世代をかけた争いが面白い。

そして会長候補者にはそれぞれ、その人物を慕い、政権闘争並みの選挙戦を支える参謀的な男子が登場します(BLじゃないよ)。その献身ぶりも萌えポイントです。

いかにもマンガチックなシーンもありますが、演出が面白いのでツッコむ以前に笑ってしまいます。帝一が幼なじみの交際相手・白鳥美美子(永野芽郁)と話をするシーンでは、笑いをこらえるのが大変でした。男女交際禁止のため、スキャンダルを避ける秘策として、夜、美美子の家の前に行く帝一。ファッションは、昭和感がすごいトレンチコート姿。そして、バルコニーの美美子と会話するんですが・・・

 

ぶーーーーーーっ!!糸電話って!!!

 

しかし最初こそちゃんと糸電話で会話してるものの、回を重ねるごとにだんだん地声で話してるし!!糸たるんじゃってるし!!
携帯のない昭和設定ってのが効いてます。 

原作漫画は未読ですが、キャラクターのイラストを見る限り、菅田将暉はじめ、みんな原作イメージをかなり忠実に再現してますね。

これって大事よね。起用したい俳優ありきなのか、原作とかけ離れた人がキャスティングされることがよくありますから。例えば藤原竜也。彼は別に嫌いじゃありませんが、『デスノート』のキラも、『カイジ』でのカイジ役も、「なんで藤原竜也!?イメージぜんっぜん違うけど!!」て吠えてしまったので。

話戻りますが。

会長を目指す道のりは、2年生になってからでは遅い。入学と同時に抜かりなく、そして戦略的に事を進める必要があるのです。

まずは1年生でクラス代表となって生徒会入り。
そして会の2年生の中から会長候補となる者を見定め、しかもその中の誰を「かつぐ」べきか見極めなくてはならない。自分が付いた候補者が選挙戦で負けたら自分も一緒に沈んでしまう。つまり自分が次の代の会長となるには、かついだ人を何としても勝たせなくてはならないわけです。

この選挙戦が生徒会のレベルを超えていて、実際の政権闘争並みの熾烈な戦いとなるのが面白い。とうとう『実弾』と呼ばれる現金(賄賂)をバラまく候補者も出てきたり。

主人公・赤場帝一(菅田将暉)をはじめ、野心をむき出しにするキャラが何人も出てくるのですが、こういうの悪くないなあ。「蘇える金狼」の主人公もそうでしたが、野心とか野望を持ってる人は濃いので、見てて惹かれるし、面白いんです。

そして菅田将暉はもちろん、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大といった、今をときめくイケメン男子の面々が揃ってて、まー贅沢。でも、彼らの人気頼みの手抜き感は無く、全力で面白い作品を目指してる意気込みを感じます。

テンポもいいし、場面展開もスムーズ。ギャグタッチのシーンのはさみ方も上手いし、ダレることなく観てられます。(終盤、投票に行こうとする帝一を妨害する菊馬とのケンカシーンがちょっと長かった気はしますが)

意外だったのは、全体のうちほとんどが、帝一のかつぐ先輩の選挙戦だということ。つまり帝一自身が会長を目指す選挙については、ほんの少しなのです。しかも、意外な展開で。

最後、ずっと封印していた大好きなピアノを講堂で弾く帝一。そして最後につぶやく独り言は、帝一の野望の深さと闇を感じさせます。

それは、大人でも劇場型選挙に感情的に流されがちな、大衆への皮肉にも感じられるものでした。

とにかくギャグにハマるもよし、イケメン鑑賞に浸るもよし。観て損の無い作品です。

必見!!

 

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